「カニクイザルを用いた脳死ドナーを想定した子宮同種移植実験」を行いました。


2018.7.21

研究内容
実験日:2018年7月21日
場所:滋賀医科大学動物生命科学研究センター
木須、的場、大野(慶應大 産婦人科)
尾原、松原(慶應大 外科)
加藤(東京女子医科大学 腎臓外科)
佐伯(済生会神奈川県病院 麻酔科)
土屋、板垣、河本、中川、村瀬(滋賀医科大 動物生命科学研究センター)
石垣(滋賀医科大 病理学講座疾患病理制御部門)
椎名(東海大 基礎医学系分子生命科学)
中川(株式会社イナリサーチ)
(見学者)
三木(東京女子医科大学 腎臓外科)
Dr. Min Jong Song (Catholic University of Korea)
Dr. Yu Liu(Fundan University of China)
内容:カニクイザルを用いた脳死ドナーを想定した子宮同種移植実験
コメント:
前回同様に前回の実験結果を振り返りながら事前に全体ミーティングを行い手術に臨みました。今回の実験でも第3者からの臓器の提供を想定し、サルのMHC(主要組織適合遺伝子複合体)がミスマッチであるドナー・レシピエント間での子宮移植を行いました。我々のカニクイザルを用いた子宮移植基礎実験やその技術は国際的にも評価を頂いており、海外からも見学の希望の依頼を頂く機会が増えております。今回は韓国と中国の産婦人科医が手術見学にきました。また子宮移植の社会的関心も高まってきており、ミーティングや手術風景のメディア撮影も行われました。今回も手術は順調に予定通りに進み、無事に手術を終了することができました。順調な経過を辿ることをチーム一同願っております。

第70回日本産科婦人科学会学術講演会にて木須伊織先生が子宮移植を行ったサルにおいて世界で初めて妊娠に成功したことを発表しました。


2018.5.13

 2018年5月10日から13日にかけて仙台市で開催された第70回日本産科婦人科学会学術講演会にてカニクイザルを用いた子宮同種移植後に妊娠に成功したことを報告させて頂きました(子宮同種移植:他の個体に子宮を移植すること)。これまで動物実験において子宮同種移植後の妊娠はラットとヒツジしか世界でも報告されておりませんでした。ヒトでの子宮移植に成功したスウェーデンでさえも非ヒト霊長類動物であるヒヒを用いて実験を重ねておりましたが、月経回復を達成することができませんでした。私達も非ヒト霊長類動物であるカニクイザルを用いて子宮同種移植後の月経回復をこれまで報告してきました。しかしながら、なかなか妊娠まで至らず苦労しておりました。この度報告させて頂いたサルは、2017年2月に子宮移植手術をした個体です。移植後に拒絶反応をきたし加療を行い克服したところで、人工授精を3回行いましたが妊娠に至らず。次のステップとして、体外受精した受精卵を移植子宮に胚移植しました。そして、胚移植3回目で妊娠に至りました。現時点ではまだ妊娠初期ですが胎児心拍も観察でき、経過は良好です。引き続き妊娠中に大きな異常が起きないことを観察していき、健康の児が生まれることを期待したいと思います。また、本発表は同学術集会の優秀演題賞に選出され表彰されました。さらには、マスコミにも多く取り上げて頂き、社会的関心も非常に集めている研究であると感じ、今後も慎重に研究を行っていければと考えております。
(文責:木須伊織)

    妊娠初期の胎児

胎児心拍を確認

関連資料:研究成果発表、 マスコミ関係

1st Congress of International Society of Uterus Transplantationで木須伊織先生および菅沼信彦先生が子宮移植に関する講演を行いました。


2017.9.18

 1st Congress of International Society of Uterus Transplantationで木須伊織先生および菅沼信彦先生が子宮移植に関する講演を行いました。
 2017年9月17日-19日にスウェーデン・イエテボリで第1回国際子宮移植学会が開催されました。日本からは慶應チームである5名(慶大外科 尾原先生/松原先生、慶大産婦人科 的場先生、女子医大腎臓外科 加藤先生、木須)と京大チームである4名(京大菅沼先生、助産師 林さん、看護師 星さん、浜松医大医学生)で参加しました。
 まず初日はPreーCongressとして、スウェーデンチームがこれまで行った生体間での子宮移植の手術ビデオが公開され、手術手技に関して議論が交わされました。2日目から学会本番となりますが、学会初の記念すべき最初の講演として、木須がサルを用いた子宮移植の基礎実験に関するテーマで発表させて頂きました。我々は2009年から継続的にカニクイザルを用いた基礎実験を積み重ね、国際的にも最も多くのデータを有するチームとして非常に高い評価を頂いており、本講演でも多くの研究者に我々の研究に関心を持って頂けたと思っております。昼のセッションでは、菅沼先生が日本における子宮移植に対する倫理観について講演されました。日本における生殖医療の背景や現状、子宮移植に対する市民の意識調査、日本で設立された日本子宮移植研究会の紹介などを会場の笑いを取りながら講演されました。
 本学会では各国での子宮移植の臨床応用の現状が報告されました。現時点で世界では計38例の子宮移植が行われております。スウェーデンのチームにおいては、9例の生体間で行った臨床研究では、これまでに6名の患者様から計8名の子どもの出産に成功しております。子宮性不妊女性にとって、この成果は希望の光を与えてくれる福音になると思われます。一方で、スウェーデンのような基礎実験を10年以上行ってきたチームとは異なり、基礎実験を行わずに臨床応用を行う国も増えてきており、残念ながらそのような国を中心に子宮移植の失敗例も増えてきたということも明るみになってきました。そのため、十分な基礎実験や準備を行うことが必要であると改めて感じました。
 この1-2年で子宮移植という新たな生殖医療および移植医療が国際的にも注目を浴び、臨床応用が急速に展開され、今後も実施国が一気に増えることが予想されます。日本においても海外の情勢を鑑みながら、近い将来、子宮移植の実現が前向きに議論されることを切に願います。
(文責:木須伊織)

参加した慶應チームメンバー

参加した京大チームメンバー

木須が初めて開催された学会の最初の講演を
行う

菅沼先生は日本における子宮移植に対する
倫理観について

木須は日本が行っている基礎研究について講演

菅沼先生は会場の笑いを取りながらの講演を

学会会場の様子

スウェーデンのマッツ先生と

2017年中華民国生育医学会にて、子宮移植に関する特別講演を行いました。


2017.6.4

 2017年6月4日に台北栄民總醫院(台北、台湾)で行われた2017年中華民国生育医学会(FSROC:李新揚理事長)への招聘を受け、菅沼が特別講演(座長:杜來南理事、呉憲銘教授)としてトピック1「性分化異常症(インターセックス)の治療管理」、トピック2「子宮移植−日本における臨床適用に向けて−」を発表しました。トピック1ではターナー症候群における性行動調査の結果、アンドロゲン不応症の性腺摘出術、先天性副腎過形成に対する外陰形成術、Mayer-Rokitansky-Küster-Hauser(MRKH)症候群における造腟術など、動画等を用いその治療管理法を、自験例を中心に紹介しました。これら性分化異常症に対し、生殖補助医療の発展がそのQOL(生活の質)を改善させる可能性についても言及しました。これを受けトピック2では、世界で行われた子宮移植のレシピエント24例のうち、22例がMRKH症候群であることを示し、子宮性不妊患者の治療法の一つとして、子宮移植が受け入れられつつあること、さらに今後の展望につき提言しました。100名以上の参加者より、造腟術や子宮移植の手術法、さらには日本における子宮移植を困難にしている理由など多数の質問があり、討論を含め2時間あまりがアッと言う間に過ぎてしまいました。中華民国の婦人科医の方々にも、お互いに母国語ではない英語の発表とディスカッションでしたが、多くの興味を持っていただけたのではないかと期待しています。

第69回日本産科婦人科学会学術集会のシンポジウムにて子宮移植に関する講演を行いました。


2017.4.15

 2017年4月15日広島で開催された第69回日本産科婦人科学会学術集会のシンポジウム(テーマ:生殖医学の最先端:不妊症治療におけるブレイクスルーを目指して)にてカニクイザルを用いた子宮移植実験の内容を発表しました。タイトルは、「霊長類動物における子宮移植技術の開発〜子宮性不妊症に対する新治療の臨床応用に向けて〜」であり、これまでにカニクイザルを用いて子宮移植に関わる様々な医学的課題を検証し、その成果を講演しました。日本産科婦人科学会は産婦人科領域では最も大きな学会であり、そのシンポジストとして選出されたことは、大変名誉であり、また産婦人科医にとって本研究が大変注目されているものであることがうかがえます。今後も学会レベルで本研究が議論されていくことを願っております。

菅沼信彦先生、木須伊織先生がスウェーデンで行われた国際子宮移植学会の設立に向けた国際会議に設立理事として参加してきました。


2016.1.6~7

 2016年1月8日から9日の2日間にわたり、Sweden(Gothenburg)のSahlgrenska大学病院内において開催された国際子宮移植学会(International Society for Uterus Transplantation:ISUTx)の設立のための国際会議に菅沼信彦先生と私(木須伊織)が設立理事として参加させて頂きました。
 子宮移植が世界でも数か国で行われるようになったことを受け、子宮移植における科学的改革や医療の進歩を担うことをvisionとして、本学会を国際的に立ち上げる運びとなりました。この設立会議には、世界18ヶ国から主に産婦人科医、移植外科医の計約70人の子宮移植研究者が集結しました。
 2日間のうち、初日は世界各国のチームから研究報告や今後の予定、2日目には学会の運営に関する会議や国際的な子宮移植の登録制度に関する議論が行われました。

初日の海外の各チームの報告では、スウェーデン、トルコ、中国からは人での臨床応用の報告やその成績についてのプレゼンがありました。特に中国のロボット手術での生体間の子宮移植の報告に対して多くの議論がなされました。また症例数が多いスウェーデンからは、9人とtrialで妊娠率86%、出産4人、妊娠中1人の成果報告があり、今後は9人のロボット手術、20人の脳死からの提供を予定していると報告がありました。また、これらの国以外でも多くの国が既に適格規準、プロトコール作成、倫理申請を進めており、世界でも子宮移植の臨床用が行われる動きとなっていることが感じられました。日本からは私が主にこれまでの霊長類動物を用いた研究成果について発表させて頂き、日本チームのこれまでの研究活動や研究成果は非常に国際的にも好評価であると感じました。
 2日目の運営に関する会議では、本学会での役職に関する議題で、理事長はスウェーデンのリーダーであるMats Brannstrom先生が担うこととなりました。次に副理事長として、我々日本のこれまでの研究活動や成果が、”meticulous and oriented research approach to uterus transplantation”と国際的にも評価され、「日本のチームから」との推挙を頂き、菅沼先生がその重役を引き受けることとなりました。

 最高気温が氷点下である極寒の天候の中で行われた会議でしたが、日本チームとして本会議に参画でき、さらに海外の研究者と情報交換を行うことができ、我々にとっても大変意義のある会議となりました。国際子宮移植学会の設立により世界でも子宮移植研究が推進されることが期待されます。
(文責 木須伊織)

関連資料:会議agenda、 参加メンバー、  Interim Board of ISUTx

木須伊織先生がSingapore General Hospitalにてシンポールの子宮移植研究グループとfresh cadaveric uterine dissection(献体を用いた子宮移植の模擬手術)を行いました。


2015.11.28

 アジアでも子宮移植研究が行われ始め、シンガポールはそのうちの一つのグループです。前回は彼らのカニクイザルを用いた子宮移植実験の協力をさせて頂きましたが、今回はSingapore General Hospitalにて、ご献体を用いた子宮移植に必要な手術手技のシミュレーションを行うために、一緒に研究をさせて頂きました。
簡単に説明をさせて頂きますが、新鮮なご遺体を用いた実験は、事前に特殊な技術を用いて血管内に色のついた液体を入れておくことで、実際の手術に大変近い状況で手術を行うことができ、新しい手術方法の開発を実際の患者様に行う前のシミュレーション手術としてよく行われます。
今回は生体ドナーでの子宮移植を想定し、骨盤底での血管剥離、摘出血管などをよく検討した上で手術を2件行いました。シンガポールの先生方と一緒に骨盤底の血管解剖を確認しながら、予定通りの手術を行うことができ、大変意義のある共同研究となりました。
(文責 木須伊織)

関連資料

第4回日本子宮移植研究会学術集会・市民公開講座が開催されました。


2015.11.03

 2015年11月3日に第4回日本子宮移植研究会学術集会・市民公開講座が学術集会長である慶應大学医学部産婦人科学教室阪埜浩司先生のもと都内で開催されました。今回のテーマは第1部では「子宮移植」、第2部では「ロキタンスキー症候群」でした。
 第1部においては、慶應大学産婦人科学教室/立川病院産婦人科の木須伊織先生よりはじめに子宮移植の現状と日本の取り組みについてのご講演があり、海外や日本での子宮移植の状況や子宮移植の課題についての解説がありました。続いて、日本における若年女性の子宮移植に対する意識調査結果の報告があり、日本社会においても子宮移植が許容される意見が多いと考えられたが、まだ十分に子宮移植が社会に認知されていない問題点を指摘されました。
 第2部の前半においては、最初に横浜市立大学附属総合医療センター婦人科の榊原秀也先生より、ロキタンスキー症候群の診断・治療についてのご講演がありました。ロキタンスキー症候群の病態を解説して頂き、その治療方法だけでなく、榊原先生のチームが行っている造腟術の工夫について、基礎的なデータを含めご紹介頂きました。造腟術を行う産婦人科医を日本では少ないのが現状で、会場ではその問題点に関するご質問や議論が飛び交いました。
 第2部の後半では、ロキタンスキー症候群の当事者団体である「ロキタンスキーの会」より4名の方が、ロキタンスキー症候群の当事者の思いについてご講演がありました。ロキタンスキー症候群の当事者の方が意を決してこのような形で公の場でご講演されるのは初めての企画でありました。4名の方々から、ロキタンスキー症候群と診断された時の当時の状況や心境、これまで抱えてきたご自身の思い、社会へ対する希望などについてお話がありました。ロキタンスキー症候群は社会のみならず産婦人科医にとってもあまり知られていない病態であり、当事者の方がどのような心境にいるのか、どのような境遇に立たされているのかを知るためにも非常に意義深い企画となりました。このような企画を通して、社会や産婦人科医にロキタンスキー症候群が少しずつ認知され、当時者の方が適切な治療やカウンセリングを受けられる医療体制が築かれていくことを期待します。
 当日は医療関係者、一般の方、マスコミ関係者含めて約80名と多くの方々にご参集頂き、無事に盛会に終わりました。また遠方からご参加頂いた方も多数いらっしゃいました。当日会場にお越し頂いた方々、本当にありがとうございました。
(文責:木須伊織)

IFFS/ JSRM International Meeting 2015にて子宮移植に関するシンポジウムが開かれました。


2015.04.26

 2015年4月26日に国際生殖医学会・日本生殖医学会の合同開催であるIFFS/ JSRM International Meeting 2015が横浜で開催されました。この日は午前中には、スウェーデンで子宮移植を行っているMats Brännström が会場でご講演され、最新の経過報告や今後の計画などについて述べられ、我々チーム一同にとっても大変意義のある講演でした。
 午後には子宮移植に関するシンポジウム「子宮移植の臨床的展開と課題」が開催されました。我々の研究メンバーが主体となって行われ、子宮移植に対して各立場からの視点で講演がなされました。はじめに、菅沼信彦座長が子宮移植のoverviewとして、日本や海外の現況についてお話がありました。続いて、木須伊織先生が産婦人科の視点からの多くの課題について、水戸医療センターの湯沢賢治先生からは臓器移植医の視点からの課題についての発表がありました。さらに医師からの立場だけでなく、患者の立場からNPO法人Fineの松本亜樹子様からロキタンスキー症候群の方々からの子宮移植に対するアンケート調査結果、続いて林文子さんから一般市民に対して行ったアンケート調査結果についてのご講演がありました。最後にClosing Remarksとして三原誠先生から子宮移植の臨床試験実施に向けての課題についてのまとめがありました。その後に行われた総合討論では会場から様々なご意見ご質問を多く頂き、活発な議論がなされ、2時間半にわたるシンポジウムがあっという間に過ぎてしまいました。会場には多くの医療関係者、マスコミ関係者、一般の方々にご参集頂き、無事に盛会に終わりました。

木須伊織先生がSingapore General Hospitalにてシンガポールの研究チームとカニクイザルの子宮同種移植手術を行いました。


2015.01.09

 2015年1月9日にSingapore General Hospital(SGH)の動物センターにてシンガポールの子宮移植研究チームとカニクイザルの子宮同種移植手術を行いました。
 シンガポールでは日本同様に代理懐胎は認めておらず、最近、子宮性不妊女性に対する子宮移植の研究を行うチームが結成されました。形成外科医および婦人科医から構成される彼等のチームも我々同様に基礎実験としてカニクイザルを使用しており、これまでに自家移植実験を1件行っております。今回は、同種移植手術を予定し、カニクイザルでの同種移植手術の経験がある我々のチームに手術の協力依頼がありました。残念ながら、三原先生は臨床業務の都合がつかず参加できず、木須のみが参加させて頂きました。
 SGHの動物センターは大変近代的な大きな建物で、手術室は人の手術室と同等の環境で、部屋も非常に大きく、同じ部屋でドナー、レシピエントの手術を同時並行することができました。獣医はドナー、レシピエントに1名ずつ担当してくれました。木須がSGHの形成外科医とドナー手術を担当し、形成外科医が血管吻合を行い、婦人科医と木須で残りのレシピエント手術(腟吻合や子宮固定)を担当しました。SGHの形成外科医のmicrosurgeyの技術は大変素晴らしく、顕微鏡下での微小血管吻合に苦労することなく、スムーズに吻合を行っておりました。
 この日は医師、獣医、センター専門職含め計12名がこの実験に参加し、木須にとっても大変有意義な海外での移植実験となりました。今後、シンガポールでも子宮移植研究が発展していくことを願っております。
(文責:木須伊織)

木須伊織先生が国際学会COGI(Controversies in Obstetrics, Gynecology & Infertility)[パリ]の子宮移植ワークショップに参加しました。


2014.12.06

 木須伊織先生が2014.12.4-7にパリで開催された国際学会COGI(Controversies in Obstetrics, Gynecology & Infertility)にて子宮移植国際ワークショップに参加しました。このワークショップはヒトで子宮移植の臨床応用に成功したスウェーデンのグループが中心となって主催されたもので、世界中の子宮移植研究者が集まり、子宮移植の現状、問題点、最新の情報について話合われました。
スウェーデンのグループは、2014年10月に世界で初めての子宮移植後の出産を報告しましたが、さらに先日2例の出産の報告をしました。これにより9例の子宮移植を実施し、現在までに6人が妊娠に至り、3人が出産の成功を収めたことになります。さらに、諸外国においても子宮移植の臨床応用が検討されており、2016年には国際学会ISUT(International Society for Uterus Transplantation)が設立され、各国の研究結果の情報交換や登録制度の整備を検討していることが明かされました。解決すべき課題はまだ多く残されているのが現状であり、引き続き各国における基礎実験や臨床研究が必要であると考えられました。

林文子さんがASRM(アメリカ生殖医学会)にて「子宮移植に対する一般市民の意識調査」の解析結果を発表


2014.11.11

 2014年10月18日〜22日にハワイにて開催されたAmerican Society for Reproductive Medicine 2014(アメリカ生殖医学会)の年次学術集会において、共同研究者の林文子さんがAwareness survey on clinical application of uterus transplantation among general public(子宮移植の臨床適用に対する一般市民の意識調査)という演題を発表しました。10月にはスウェーデンにおいて、世界最初の移植子宮からの出産が報告され、今後、わが国においてもその適応に関し、議論が深まることと思われます。当医療を進めるためには社会的コンセンサスを得ることが必須であり、そのためには貴重な研究結果と考えられます。当集会ではスウェーデンの子宮移植チームのリーダーであるMats Brännström先生の講演もあり、発表後はスタンディング・オベーションが起きました。また個人的にお話しする機会もあり、「スウェーデンでも代理懐胎より子宮移植の支持者が多い」とのことでした。今後もコンタクトを取りながら、我々も研究を進めていくつもりです。(文責:菅沼信彦)

木須伊織先生が第17回日本IVF学会学術集会において学術奨励賞 最優秀演題を受賞


2014.09.13

 平成26年9月13日から14日に大阪で開催された第17回日本IVF学会学術集会において木須伊織先生の演題が学術奨励賞 最優秀演題として表彰されました。本賞は数多くの応募演題より厳選して選ばれた優秀演題3題のうち、最も優秀な発表を行った先生に対して贈られる賞です。
発表演題は、「非ヒト霊長類動物モデルを用いた子宮移植モデルの開発 〜子宮性不妊患者に対する妊孕性再建技術の可能性を探って〜」で、木須先生は霊長類であるカニクイザルを用いて子宮移植モデルの開発を継続的に行い、臨床応用の可能性を探り続けていますが、この度その研究が評価され、今回の受賞に至りました。今後もカニクイザルの基礎実験のさらなるデータの蓄積がなされ、将来の子宮移植の臨床応用の可能性を探り続ける木須先生の活躍が期待されます。

PAGE TOP